C-Macksの自論展開

日々の物事に対し、情報を収集し自論を述べていくものです。賛同意見・反対意見は歓迎しますが、暴言・脅迫・罵詈雑言はお断りです。

トリチウムってなにもの?

こんにちは。先日福島第一原発のALPS処理水の海洋放出が始まりました。原発事故が起きてしまったという事実は変えられません。しかし、一概に批判・中傷・風評被害などのネガティブキャンペーンをするのではなく、起きた原発事故から自分たちが何を学び、教訓として生かすのかが大事だと思います。

さて、ALPSという装置はほとんどの放射性物質を取り除くことができますが、唯一取り除けないのが「トリチウム」です。皆さんは、トリチウムという物質が放射性物質ということ以外は何も知らないのではないでしょうか?今回はトリチウムについてできる限りわかりやすく解説したいと思います。

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トリチウムとは、一言で言えば「水素」の同位体である。同位体とは、性質は全く同じだけど、重さが異なる元素のことである。イメージするなら、「ヒト」という生き物がいるけど、体重が「痩せているヒト」「太っているヒト」「300kgを超えるヒト」などである。ヒトの場合、体重が増える原因の多くは脂肪の蓄積であろう。これは元素の世界でも同じで、中性子という脂肪をもらって重たくなっている。「水素」の場合、自然界の約99%が中性子を持たない重さ1の水素(1H)、1%弱が中性子を1個持つ重さ2の水素(2H)、中性子を2個持つ重さ3の水素(3H)が微量に存在している。この重さ3の水素(3H)がトリチウムである。
さて、ヒトに適正体重(一般的にはBMI値22)があるように、元素にもそれぞれ適正な重さがある。水素の場合は重さ1である。その適正が守られなければ不安定になる。ヒトで言えば、300kgを超えるようなことがあれば行動が困難になったり、疾患が出てきたりする。水素も同じように、重たくなると「水素」として維持することが困難になる。自然界は常に安定な方向に進むため、トリチウム3H)の場合、エネルギーを放出して別の元素(ヘリウム、3He)へと変化する。このエネルギーが放射線である。ただ、トリチウムが放出する放射線の量は微量であり、直ちに影響は出ない。これを危険視するなら、レントゲン検査に対して猛抗議をするべきである。レントゲン検査に用いるX線の方が放射線の量が多く、被爆リスクが高いのである。
では、トリチウムはどのように生成されるか。一言で言えば、中性子が存在する環境であれば生成されうる。例えば、隕石中に含まれる有機物質や原子力発電の燃料棒や燃料デブリ等の放射性物質が浸かっている水の中があげられる。前述したように、トリチウムは水素の同位体である。そのため、水(H2O)の水素にトリチウムが混在すると、現代化学では分けることは不可能である。ALPSでは取り除けない理由である。見方を変えれば、地球の約70%を占める海の水にトリチウムが含まれていても何ら不思議はない。それが雨となって地表に降り注ぎ、川に流れ、そして海に戻る。そう、太古の昔からトリチウムを含む水を我々は知らない間に使い、摂取しているのだ。今さら恐れていても意味がないのである。

トリチウム放射線を発しているが、原爆等に使われるウランやプルトニウムが発する放射線量に比べたら微々たるものである。私の目測だが、福島第一原発の敷地内にある処理水のタンクすべてを合わせても、広島に落とされた原爆の放射線量にもならないであろう。批判や中傷等のネガティブキャンペーンをする時間があるなら、トリチウムについてしっかり学び、理解する時間に充てていただきたい。批判、中傷等しかできないのは三流の証。そういえば、どこかの党首も率先してネガティブキャンペーンをしていたな…。