C-Macksの自論展開

日々の物事に対し、情報を収集し自論を述べていくものです。賛同意見・反対意見は歓迎しますが、暴言・脅迫・罵詈雑言はお断りです。

働き方改革およびいわゆる2024年問題を考える

来月には医者や運輸業のドライバー等の残業規制が始まります。いわゆる2024年問題と呼ばれるものですが、メディアでは「病気を診てもらいにくくなる」「運送業の運転手がいなくなる」などのデメリットしか報じません。確かにこのようなデメリットはありますが、本来の目的をしっかり伝えてもらいたいものです。

今回はこのいわゆる2024年問題について自論を述べていきます。

興味ない方はお帰りください。

そもそもこの「いわゆる2024年問題」にピンッと来てない方もいると思われるため、簡単に説明する。これは2019年に始まった働き方改革の一環で、この改革以前においては、会社は36協定さえ締結すれば、いくらでも残業させることができていた。残業代でしっかり給料貰える分、残業のしすぎによる長時間労働が仇となってメンタルヘルス不調やうつ病、不慮の事故の頻発、過労死が社会問題となった。また昨今の少子高齢化による労働者人口の減少も相まって、事業の維持が困難となる業種が大量に発生したのである。このような背景により、現存する労働者を守ることを目的に働き方改革を行うことになった。しかし、医師(勤務医を指す)や運輸業のドライバー、建設関係は事業の特性から労働時間の管理が容易ではなく、また残業時間も多く発生することから、制度の設計や労働時間の把握のための仕組みの導入等を行うために5年間の猶予期間が与えられた。この期限が今月末である。これがいわゆる2024年問題である。

さて、いわゆる2024年問題のデメリットは、メディア等でよく報道されている。医業界では勤務医不足の加速、地方病院の閉鎖、医師のレベルの低下等、運輸業では運送能力の低下や運転手不足の加速等、建設関係は建設物の納期の遅れやインフラの整備の遅れ等が挙げられている。もちろん現代社会を支える業種であるため、これらのデメリットに目はつぶれない。一方で、メリットの方はあまり報道がされてなく、情報の偏りには疑問を呈する。この働き方改革のメリットは、長時間労働を減らして労働者の体と心の健康を守ることにある。疲れや健康障害によるヒューマンエラーは誰にでも起こりうることで、これが医業界で起これば直接人命に関わり、運輸業や建設関係で起これば人命を奪いかねない大事故や大きな損害に関わってくる。これらを防ぐことも目的の一つである。また、生活時間や睡眠時間をしっかり確保することで、心や体のリフレッシュを図り仕事への活力を得ることもできる。これらが転じて、労働生産性の向上が期待でき、日本の発展にも寄与する。「働く量」を重視する時代は昭和まで、令和の時代は「働く質」が重視される、その転換点が「働き方改革」である。

このようなデータがある。うつ病等の精神疾患による経済損失は数兆円にのぼるとされている。⇒https://newscast.jp/news/3597345

精神疾患の要因は様々あるが、その一つはヒューマンエラーに起因する事象である。そのため、労働者の保護は喫緊の課題であった。しかし、昭和を生きた世代が「気合いが足りない」「怠け癖だ」「甘ったれるな」などと、根拠のない根性論を盾にして精神疾患を認めたがらない現状により、社会における自浄能力に全く期待ができなかった。このような背景に、止まらない少子化、顕著な労働者不足が加わる危機感から、法整備を行って現存する労働者を守らなければならない状態にまで陥っていったと考えられる。

いわゆる2024年問題から、働き方改革の本質まで多岐に渡り論じてきた。日本社会は誰かの犠牲のもとに成り立ってきたが、もはや時代遅れ。労働者、特に医師やドライバー等のエッセンシャルワーカーの保護を図らなければ、行き着く先は社会の崩壊であり、奴隷制度の復活もありうる。技能実習生を存外に扱う行為はそのはしりとも言えよう。一方、使命感に燃える医療関係者や、トラック野郎のような方から見ればありがた迷惑な制度だという批判もある。前述したように、医業界や運輸業、建設関係は、ヒューマンエラーひとつで人命に関わってくる。これを意識する機会、動機となるだけでも、働き方改革の一定の成果であると私は思う。

昭和を生きた者たちへ。「代わりはいくらでもいる」時代はもう終わっている。「やりがい」だけで社会はもう回らないのである。